2016年12月3日土曜日

カジノ解禁が目前に。 ~既存ギャンブル業界は「のめり込み」対策の強化を迫られる



日本にカジノを含む複合施設の整備を推進する法律、通称「IR推進法」が2日、衆院議内閣委員会で可決した。早ければ14日に成立する可能性がある。カジノ解禁が現実味を帯びてきた。


IR推進法案はIR議連によって1312月にいったん提出されたが、1回審議が行われただけで1411月の衆院解散によって廃案になった。その後154月に再提出されたものの、これまで審議入りしなかった。ところが10月に自民党内で、11月の審議入りの方針が固まり、調整が始まった。
1129日、衆院議院運営委員会はIR推進法案について、内閣委員会に付託することを決定。その後、衆院内閣委員会は理事懇談会を開催し、30日の審議入りを決定。30日に衆院議内閣委員会で審議入りした。
121日、衆議院内閣委員会の理事懇談会は、2日の委員会でIR推進法案を審議することを委員長の職権で決定。2日の質疑後、衆議院内閣委の秋元司委員長(自民)が職権で採決を決定。自民、維新のほか、公明の一部議員の賛成により可決した。推進派からも「説明不足」と苦言が漏れるほどのあまりにも速い展開だった。
自民党は6日に衆議院本会議で法案を可決させたい考え。衆議院本会議を通過すると、参議院に送付され、今国会の会期である14日までに可決する見通し。



細かなことはこれから決まる


今国会でIR推進法が成立したからといって、ただちにカジノが合法化されるわけではない。カジノが合法化されるまでには二段階の手続きがある。いま成立しつつあるのは第一段階の通称「IR推進法」と呼ばれるわずか23条からなる法律で、国会として政府にカジノ導入の準備を求めるもの。第二段階は、「IR実施法」と呼ばれる2つ目の法律を作り国会へ提出し、審議・成立させることだ。
第一段階であるIR推進法には、内閣に同法の公布後3カ月以内をめどに「特定複合観光施設区域整備推進本部」を設置すること(第14条)と、同法施行後1年以内をめどに「必要となる法制上の措置」を講じること(第5条)を求めている。つまり今国会でIR推進法が成立すれば、今後1年の間に、カジノを作るにあたって必要な具体的な法律が詰められることになる。そのほかにも、ギャンブルが利用者に及ぼす負の影響を防止する措置を講じることを盛り込んでいる。10条は次のように書かれている。

第十条 政府は、カジノ施設の設置及び運営に関し、カジノ施設における不正行為の防止並びにカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行う観点から、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるものとする。
  一 カジノ施設において行われるゲームの公正性の確保のために必要な基準に関する事項
  二 カジノ施設において用いられるチップその他の金銭の代替物の適正な利用に関する事項
  三 カジノ施設関係者及びカジノ施設の入場者から暴力団員その他カジノ施設に対する関与が不適当な者を排除するために必要な規制に関する事項
  四 犯罪の発生の予防及び通報のためのカジノ施設の設置及び運営をする者による監視及び防犯に係る設備、組織その他の体制の整備に関する事項
  五 風俗環境の保持等のために必要な規制に関する事項
  六 広告及び宣伝の規制に関する事項
  七 青少年の保護のために必要な知識の普及その他の青少年の健全育成のために必要な措置に関する事項
  八 カジノ施設の入場者がカジノ施設を利用したことに伴い悪影響を受けることを防止するために必要な措置に関する事項

公明党は2日の採決を容認するにあたり、付帯決議を条件にした。公明党が作成した付帯決議には、カジノだけでなく既存のサービスを含めた包括的な「ギャンブル依存症対策」の整備が盛り込まれており、同日、これも賛成多数で可決した。
今後、ギャンブル依存対策が推進されることになり、世論の関心が一層高まることは間違いない。ギャンブル依存対策は、公営競技団体にも求められる。さらに、「ギャンブル」ではないものの、遊技業界においては、行政が「射幸心をそそるおそれ」にいっそう神経をとがらせるようになることは間違いないだろう。

文=田中 剛 Amusement Japan 編集部